文科省科研費新学術領域研究「予測と意思決定」公募研究募集

文部科学省科研費新学術領域研究「予測と意思決定」公募研究募集のお知らせ

今年度採択された科研費新学術領域研究「予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用」では、平成24, 25年度の2年間の研究を公募中です。公募要領は文部科学省の下記webページをご参照ください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/boshu/1310474.htm

新学術領域の公募研究には、基盤研究などと同時応募が可能です。脳科学に限らず幅広い分野からの応募を期待しています。計画研究の内容に関しては、領域ホームページ http://www.decisions.jp をご参照いただくか、下記計画研究のメンバーにお問い合わせください。領域代表者 銅谷賢治

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新学術領域研究「予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用」研究概要

 日々の行動から人生の選択にいたるまで、人がどのような原理とメカニズムにより意思決定を行っているのかは、哲学から心理学、経済学、政治学脳科学、精神医学にわたる大きな問題である。本研究領域の目的は、人の意思決定の原理と脳機構を、論理学や統計推論の理論、人の行動解析と脳活動計測、実験動物での神経活動の計測と操作、計算機シミュレーションとロボットによる再構成を通じて解明することである。意思決定には、直感的、習慣的なモデルフリーの機構と、計画的、適応的なモデルベースの機構が考えられるが、これらがいかに選択され統合されるのか、後者で必要な「脳内シミュレーション」による行動結果の予測がどのような神経回路の働きにより実現されているのか、またそれらが分子や遺伝子によりいかに制御されているのかを、最新の実験技術と数理手法を駆使して明らかにする。
 このため、以下の3つの研究項目について「計画研究」により重点的に研究を推進するとともに、より多様なアプローチによる思考、意識、意欲など心のしくみの解明と、その精神疾患、教育、社会政策、人に親しみやすい情報技術などへの応用をはかるため、計画研究を補完する2年間の研究を公募する。1年間の研究は応募の対象としない。なお、研究分担者を置くことはできない。
 公募研究の採択目安件数は、単年度当たり(1年間)の応募額500万円を上限とする研究を14件程度、1000万円を上限とする研究を3件程度予定し、特に前者には若手研究者からの積極的な応募を期待している。
 なお、研究内容の詳細については、領域ホームページ(http://www.decisions.jp)を参照すること。
(研究項目)
A01 行動と意思決定の計算理論:人文社会科学、行動経済学認知心理学、脳活動計測、ゲーム理論、統計的学習理論などによるアプローチ
A02 意思決定の神経回路機構:神経活動の多電極記録、光学記録、光刺激と抑制、遺伝子改変による回路操作、コネクトームなどによるアプローチ
A03 意思決定を制御する分子・遺伝子:神経伝達物質・細胞内伝達系の可視化、薬理操作、遺伝子操作、遺伝子多型、遺伝子発現、プロテオームなどによるアプローチ
(計画研究代表者)
A01 行動と意思決定の計算理論
岡田光弘(慶応大):予測・判断・意思決定の論理と計算
今井むつみ(慶応大):ヒト乳児の言語学習を可能にするモデルフリー・モデルベースの学習機構
杉山 将(東工大):予測と意思決定のための機械学習理論の構築とその神経回路での実現
柴田智広(奈良先端大):実店舗での購買意思決定過程
A02 意思決定の神経回路機構
坂上雅道(玉川大):モデルベース的意思決定を可能にする神経回路
銅谷賢治(OIST):予測と意思決定の神経回路ダイナミクスの解明
岡本 仁(理研):意思決定神経回路の可視化と操作
A03 意思決定を制御する分子・遺伝子
高橋英彦(京都大):精神・神経疾患における熟慮的および直感的意思決定障害の脳内基盤の解明
木村 實(玉川大):予測と意思決定の大脳基底核扁桃体の神経回路基盤
疋田貴俊(京都大・OBI):報酬・忌避の意志決定の機構解析

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