また好きな店が閉まる理由

奈良に移り住んで以来,常に同じクリーニング店を利用してきた.

そこは,歩いていくには,少し遠いところだったが,おばちゃんが大変明るくて気立てが良く,気持ちよく利用することができたからだ.当時の同僚も,その店が好きだと言っていた.

ところが,そこが突然店仕舞いするという連絡が来たので,何とか最終日までに衣服を持っていった.聞けば,京都の北方にいるご主人の母親が病気になられ,長男夫婦で頻繁に面倒を見る必要が生じ,店の運営が難しくなったのだそうだ.おばちゃんは少し目を潤ませていた.そのクリーニング店は,おばちゃんのキャラでしっかり地域に根付いていたはずだ.おばちゃんもやめたくなかっただろう.

以前,精華町にあった人気のパン屋さんも,同様の理由で店仕舞いした.奥さんは泣いていたと聞く.

現代社会は,親と遠く離れて住む人が非常に多い.少子化で,家族内での協力というのも容易ではない.今後多くの人が上記のような問題に直面せざるを得ない状況であるが,より良い社会を模索したいものだ.ちなみに,私は北欧型のように,消費税25%でいいから,生命保険や障害保険をどれにするかなど悩むことなく,ゆりかごから墓場まで安心していられる社会が良いと思っている.